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投稿日:2009年10月21日 16:10  カテゴリ:業務拡大のタネ

弁護士の“商品開発力”

 「弁護士人口の増加に伴い、法律事務所の専門分化が進む」という話は、よく聞く話ですが、一部の法律事務所を除いて、「一般民事」を広く扱われている法律事務所が大多数であると思います。マーケティングの観点からは、できるだけ分野を絞り込んだほうが効果的です。特にWebマーケティングにおいては、検索結果に表示されることが最重要であり、そのためには利用者がどのようなキーワードで検索するかを想定し、それに合う形でコンテンツを作る必要があります。この場合、一般的な内容で検索結果の上位に掲載されることは難しいため、専門性を高めないことには、目的が達成できなくなります。

 こうした話は最近ではどこでもよく聞く話ですし、否定しがたい内容ですので、理解していただけるのですが、「そうはいっても、うちの事務所は何かに特化しているわけではないし…」というところで、止まってしまうことが少なくありません。

 こうした悩みを持つ背景には、弁護士は仕事を選ばず、依頼者も弁護士を選ばないという時代が長く続いてきたことと、弁護士の“商品開発力”の不足があるのではないかと思います。近年の「過払いバブル」とそれに伴う隣接士業を巻き込んだ競争を通じて、債務整理分野におけるサービスは明確になり、比較が可能になりました。“一品もの、価格・時価”から、“商品”となったのです。

 こうした“法律事務の商品化”、さらに進んで“法律事務のコモディティ化(汎用化、没個性化)の流れに否定的な意見も理解できますし、事案ごとに中身が違う中で、サービス内容・料金を統一することにはかなりの「思い切り」が必要でしょう。

 しかし、考慮要素が多くある中で適正なサービス内容・価格を決定し、“商品”とすることは、どの企業でも行っていることですし、法律事務所の中でも顧問契約は“商品化”されています(サービス内容の明確化の部分はともかく、料金の面では)。ある程度経験を積んだ弁護士であれば、過去の同種事案の処理にかかったコスト(時間面・費用面)から、適切な価格設定も可能ではないでしょうか。

 利用者は、「債務整理が30万円ポッキリ!」みたいなサービスを求めているわけではありません。ただ、経済的利益や訴額がわからないと費用がわからない、かかる時間によって費用が変わる、というのでは、合理的な判断ができないのも事実です。今後は、弁護士にも“商品”を作り、それをアピールする力が要求されると思います。

 

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