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投稿日:2010年9月 3日 19:09  カテゴリ:業務拡大のタネ

サービス業の限界をどう超えるか?

 法律事務も広い意味でのサービス業ですが、サービス業には以下の限界があるといわれています。

  1. 同時不可分性
    生産するときと消費するときが同時である(在庫を作ることができない)
  2. 非均一性
    品質が一定でない
  3. 非定型性
    サービス内容が見えない

 この限界をどうクリアするかが、業務を拡大するための工夫のしどころとなります。

 まず、同時不可分性への対応ですが、一般企業ですと、繁忙期と閑散期で料金を変えたり、サービス内容を変えたりすることができますが、法律事務所ではそういったことは難しいでしょう。
 弁護士が複数いる事務所では、事件の配点の仕方を工夫したり、共同受任しておき、時間に余裕があるほうがクライアント対応にあたるといったことは実施されていると思います。
 これ以外の工夫の仕方としては、オンラインで面談予約を受け付けるようにしておくとか、関係の深いクライアントに対しては、対応可能な時間帯を公開しておき、クライアント側で日程を押さえられるようにしておくなどのやり方もあると思います。ただ、依頼者・関係者に自分の予定(特に事務所にいる時間帯)を知られたくないという弁護士も多いようですので、実現は難しいのかもしれません。

 次の非均一性への対応ですが、こちらはマニュアル化がひとつの方法です。ただ、非均一性の問題は、「一定水準以下のサービスを提供してしまう恐れがある」という点にあるので、マニュアル化によって下限を引き上げた後は、スタッフの創意工夫による質の向上を積極的に支援することが重要になるでしょう。資格手当の制度を設けて、事務職員に資格の取得を促すといったこともひとつの方法です。
 また、人の作業以外でできる部分を機械化することで、人為的ミスを減らすことも対策になりますから、IT化を進めるのもよいと思います。

 最後の無形性への対応がある意味一番難しいかもしれません。サービスの中身が見えないゆえに、サービスの受領側も何を基準に選んでよいか、受けたサービスをどう評価してよいかがわかりにくいといえます。
 無形性に対するひとつの考え方は、「サービスの質が良い=値段が高い」という仮定のもと、価格設定で見える化することですが、この場合、「価格の割に満足が得られなかった」となれば、一気に顧客が離れることになります。
 着手金や初回の相談料を無料にしてまず利用してもらうという方法も考えられますが、価格競争に巻き込まれてしまうと、後から値段を引き上げるのは難しいため、「貧乏暇なし」になる可能性があります。こういった手法は最後にとっておき、守秘義務に反しない範囲で利用者の声をホームページ等に掲載することによって、サービスの質をアピールするのがよいと思います。
 ただ、こうした「利用者の声」マーケティングは、インターネットショッピングを中心に広く用いられており、利用者の見る目も肥えてきています。具体性のない絶賛コメントなどは信憑性を疑われ、かえってマイナスになってしまうので、注意が必要です。

 

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