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投稿日:2009年9月16日 13:55  カテゴリ:法律事務所の立地論

「駅近」立地を考える

 前回から法律事務所の立地について考えています。前回は裁判所付近にどのくらいの法律事務所が立地しているかを調査し、大阪では大阪地裁の半径500m以内に約880件の法律事務所が立地していることをお伝えしました(大阪府内の法律事務所の6割以上が大阪地裁から半径500m以内にあるという現実)。裁判所の近くに法律事務所が立地するのは、弁護士・事務職員の移動コストを最小にするための工夫といえますが、それ以外の要素で立地を考えることはできないでしょうか。今回は駅に注目して立地を考えてみたいと思います。

 昔から「駅近」は、立地の基本と考えられてきました。どこでも乗ることができてどこでも降りることができる自動車と違って、鉄道は駅からしか乗り降りすることができません。当然、駅には人が多く集まることになります。その駅が人を集める力に注目して、古くは駅前商店街ができ、現在では駅直結のショッピングセンターや「駅ナカ」ビジネスが発達しています。

 基本的に来所してもらうことが前提の法律事務所も駅に近いほうが依頼者にとって便利だと思うのですが、実際にはどの程度「駅近」立地しているのでしょうか。乗降客が多い主要駅について、半径500m圏内(徒歩5分程度)に立地する法律事務所の数を数えると、以下のようになります。

主要JR駅周辺の法律事務所数
駅名半径500m圏内の法律事務所数
新宿約180件
池袋約60件
渋谷約60件
横浜約10件
大阪約490件

 調査は駅の住所を基準に行ったため、駅そのものが大きい場合には、500m圏内に法律事務所が立地する余地がない場合もあるのですが、主要JR駅の周辺に立地する法律事務所は少ないようです。例外は大阪で、大阪駅と大阪地裁が直線距離で1km程度ということもあって、大阪地裁付近の事務所の一部が該当したようです。

 主要駅の乗客(乗降客)数は、各交通機関で公表されているほか、都道府県の統計でも知ることができます。立地を検討する際に、一度ご覧になってみてはいかがでしょうか。ただ、データを見る際には、データの集計方法(乗車人員のみなのか、降車人員を含むのか)に注意する必要があります。他の事業者のデータと比較する際には、特に注意が必要です。

乗降客数データへのリンク

 

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