投稿日:2009年10月14日 16:06 カテゴリ:法律事務所の立地論
これまで3回にわたって法律事務所の立地について考えてきましたが、今回はその最終回です。
いきなり結論めいたことを書きますが、立地は「誰のための法律事務所か?」で決まります。そして、その「誰」をどれだけ明確に想定できるかがポイントになります。
これまでのエントリーでどちらかといえば否定的に書いてきた「裁判所近くの法律事務所」ですが、これも「弁護士・事務職員のための法律事務所」というのであれば、問題ありません。ただ、そうであるならば、「市民の方には不便かもしれませんが」という部分を隠してはいけないと思います。「市民の方にはわかりにくいかもしれませんが、裁判所の近くのほうが弁護士・事務職員にとって便利なので、ここに事務所を開きました。ご不便をおかけしますが、ご理解ください。」ということであれば、事務所への行き方を聞かれた時の対応やホームページの記載内容も変わってくるでしょう。
また、「弁護士・事務職員」というだけでは、「誰」の部分も踏み込みが足りません。移動手段が徒歩であれば、道のりが700m(約10分)を超えると頻繁に行き来するのは大変でしょう。これが自転車になれば道のりが1kmでも問題ないかもしれません。電車であればさらに距離は広がります。高齢者を対象とするのであれば、最寄りの駅から歩いて来れる範囲、なおかつ階段ではなくエレベーターがある物件を選ぶであるとか、自動車の利用が多い地域では駐車場がある物件を選ぶであるとか、女性をターゲットにするのであれば、近くに歓楽街があるところは避けるであるとか、想定している「誰」をできるだけ深く掘り下げ、その人に適した立地を考えるべきです。
これまでの話は、これから新しく事務所を立ち上げる場合の立地分析の話でしたが、既存事務所の集客という面で立地を考える場合は、地図上に依頼者や顧問先の住所を書き込んでいき、その密集度や空白域を分析するという方法があります。小売店のように明確な地理上の濃淡というのは発見しにくいかもしれませんが、思わぬ発見が次の依頼者につながるかもしれません。
最後に、立地を考える際に役立ちそうなサイトをいくつかご紹介します。
トラックバックURL:
コメントする