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投稿日:2009年7月 1日 17:23  カテゴリ:法律事務所命名考

法律事務所の命名ルール

 今回は法律事務所の命名ルールについて取り上げます。法律事務所の名称については、日本弁護士連合会の会規である「法律事務所等の名称等に関する規程」で定められています。全部で23条からなる規程ですが、ポイントとなる部分を抜粋すると、以下のようになります。

  • 法律事務所に名称を付けるときには、事務所名称の中に「法律事務所」の文字を入れなければならない。
  • 所属弁護士会の地域内にある弁護士法人名または法律事務所名と同じ名称を付けることはできない。
  • 不正の目的をもって、他の法律事務所と誤認されるおそれのある名称を付けてはならない。
  • 品位を損なう名称を付けてはならない。

 1点目については、弁護士法人の場合には、「法律事務所」の文字が入っていなくても問題ありません(例:弁護士法人淀屋橋・山上合同)。また、弁護士法人の名称と弁護士法人に属する法律事務所の名称は異なっていても構いません(例:弁護士法人レセラの主事務所は四ツ谷法律事務所)。

 2点目の同一名称の禁止については、いくつかの例外があり、(1)自己の氏または氏名のみを用いる場合や、(2)共同事務所の他の弁護士の氏または氏名のみを用いる場合、(3)自己の氏または氏名及び共同事務所の他の弁護士の氏または氏名のみを用いる場合、などは同一名称でも問題ないとされています。
 わかりやすくいうと、山田太郎弁護士は、仮に同じ弁護士会の地域内に「山田法律事務所」があったとしても、さらに「山田法律事務所」を開設できるし、山田弁護士と佐藤弁護士が共同で法律事務所を開設する場合、他に同名の事務所があったとしても、「山田法律事務所」「佐藤法律事務所」「山田・佐藤法律事務所」のいずれでも開設できる、ということです。

 ただ、同じ営業エリア内に同一名称の法律事務所が存在することは、誤認を招きやすく、トラブルのもとともなります。同名の事務所が持っている事件の関係者が間違えて連絡をしてくる(大半はクレーム)こともあるでしょうし、原告側代理人が山田太郎弁護士の山田法律事務所、被告側代理人が山田次郎弁護士の山田法律事務所となった場合には、大混乱を招きそうです。氏がよほど特殊でない限り、氏を事務所名に付けるのは避けたほうがよいでしょう。

 規程のうえでは、他に同一名称の事務所が存在しない限り、基本的にどのような名前を付けてもよいことになりますので、「長澤まさみ法律事務所」でも「木村拓哉法律事務所」でもよいことになります。「品位を損なう名称」とはいえないでしょうしね(笑)。

 ちなみに、法律事務所名として用いることができる文字は、(1)日本文字、(2)ローマ字、(3)アラビア数字、(4)アンパサンド(&)、アポストロフィー(’)、ハイフン(-)、ピリオド(.)、中点(・)とされています(事務所名称等の使用文字等に関する規則)。
 「日本文字」とされているだけなので、かなり難解な漢字(「鮴浴vや「魍サ」や「鮗、」など)も名称として利用できますが、あえてそのような事務所名にするメリットもないでしょう。話題にはなるでしょうが、読めない・書けないでは、意味がありませんしね。

 次回は、法律事務所に地名を入れることのメリット・デメリットについて取り上げます。

 

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