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投稿日:2009年8月 5日 12:53  カテゴリ:法律事務所命名考

法律事務所の理想の名前

 「法律事務所命名考」も今回で最終回。法律事務所の理想の名前について考えてみたいと思います。

 まず、現状において、法律事務所と地域の結びつきについて無視できないことから、地名は何らかの形で入れておいたほうがよいでしょう。「法律事務所名に地名を入れることのメリット・デメリット」では、都道府県名や県庁所在地名が付いた法律事務所について取り上げましたが、より狭い地名(梅田とか銀座など)でも問題ないでしょう。ただ、あまり狭く絞りすぎると、同じ地域内でしか移転できなくなることと、ターゲットを絞り込みすぎて逆に認知されにくくなる恐れがあるので、注意が必要です。

 少し例をあげて考えてみます。大阪に枚方ひらかた市という市があり、そこには、樟葉くずはという比較的大きな駅があります。そこで「樟葉法律事務所」(執筆時点においては実在しません)という事務所を開設することを考えましょう。
 まず、「樟葉」は読みにくいですので、「くずは」にすべきでしょうが(「法律事務所で避けるべき名前」参照)、そのうえで、樟葉駅を利用している人が、自分の利用駅の近くで法律事務所を探す際に、どのようなキーワードで検索するかを考えてみると、おそらく「樟葉 法律事務所」ではなく、より広い「枚方 法律事務所」を選択すると思われます。なぜなら、あまり絞り込みすぎても選択肢がほとんどないと地元の人であればわかっているからです。逆に、飲食店を探すのであれば、「イタリアン 樟葉」などで探すでしょう。「レストラン 枚方」ではあまりに広すぎるからです。
 このように、商圏の広さと競合の数で地名についてはある程度広げたり狭めたりする必要があると思います。

 次に、地名だけではやや味気ない感じもありますので、事務所のイメージを想起させるような名前を追加するのがよいと思います。「法律事務所名に専門色を出すことのメリット・デメリット」で取り上げたような専門色を出すのもよいでしょう。それ以外ですと、自然に関連する言葉を使われている事務所が多いでしょうか。
 弁護士の象徴ともなっている「ひまわり」を使っている事務所は、ひまわり基金法律事務所(公設事務所)以外にも全国に15事務所あります。そのほかには、「あおば」「ふたば」「わかば」「よつば」といった植物に関連した名前、「あおぞら」「おおぞら」といった空に関連した名前などが多いようにみえます。安心感・躍動感・やわらかさ・みずみずしさといったイメージをうまく表現しているのではないでしょうか。
 上で挙げた例はすべてひらがなでしたが、漢字・カタカナ・アルファベットも、それぞれの文字の持つイメージを活かして、事務所のカラーに合った名前を付けるのがよいと思います。同じ「あおば」でも、「あおば」「青葉」「アオバ」で印象は違いますので。

 以上の条件を満たした、理想的な法律事務所名を付けられている事務所もたくさんあるのですが、具体的な事務所名を挙げられないのが残念です(条件といっても2つしかないので、組み合わせればよいだけですが)。
 6回にわたって法律事務所の名前について考えてきましたが、どの法律事務所もいい加減な気持ちで事務所名を決めているわけではないでしょうし、独立の際に、書類の事務所名の欄に筆を下ろしたときの緊張感というものがきっとあったのだろうと思います。そういったものを思い出していただきながら、もう一度名前について考えていただけたらと思います。

 次回は、命名編の番外として、ホームページのアドレス(ドメイン)について考えてみたいと思います。

 

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