投稿日:2011年12月16日 19:10 カテゴリ:その他
今年もあとわずか。修習を終えた新人弁護士が各地に赴任するのもこの時期です。弁護士の人数も32,000人近くになったものと思われます。
弁護士人口を増やそうという流れの中で、弁護士1人あたりの国民数も年々減少し、2011年には、4,196人に1人にまで減少しました(「弁護士白書2011」より)。市民の弁護士に対するアクセスが向上することは望ましいと思うのですが、ひとつ気になることが。少子高齢化と人口減少が進む中、若手の弁護士だけを増やしてもよいのでしょうか。そこで、「弁護士白書2011」に掲載されている「年齢別構成」と、2010年10月1日現在の年齢別人口統計をもとに、「世代別弁護士1人あたりの国民数」を計算してみることにしました。
結果は以下の通りです。参考までに「世代別医師1人あたりの国民数」と並べてみます。
世代 | 弁護士 | 医師 |
---|---|---|
20代 | 4,632人 | 526人 |
30代 | 1,866人 | 274人 |
40代 | 3,260人 | 238人 |
50代 | 4,054人 | 253人 |
60代 | 4,182人 | 521人 |
70代以上 | 5,239人 | 692人 |
今年度の司法試験合格者の平均年齢が28.5歳だそうなので、修習を終えるとほぼ30歳。その意味で、30代の人数が少ないことは予想できましたが、これほどの差が出るとは思っていませんでした。
世代人口における弁護士になりたい人の率というのは、そう大きく変わらないでしょうから、弁護士数をコントロールしないと、不自然な状態(レベルの低下、人口バランスの崩れ)になりそうです。
これまで、法曹人口問題については、全体数に着目した議論がなされてきましたが、今後はこうした世代間バランスについても議論すべきではないかと思います。
また、今後仮に合格者が減ったとしても、「人口2,000人に1人が弁護士」という状態が変わらない20代、30代の弁護士は、これからの40年近い弁護士業務をどう乗り切るか、真剣に考えなければならないといえそうです。
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