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中小企業と弁護士の関わり方の現状

※以下のデータは、日本弁護士連合会弁護士業務総合推進センターによる、「中小企業の弁護士ニーズ全国調査報告書」(対象:全国の中小企業15,450社)の結果による。

1 弁護士の利用経験

ない ある
(法的手続のみ)
ある
(法的手続以外)
無回答
47.7% 23.2% 28.6% 0.5%

※法的手続のために弁護士を利用した企業は、弁護士を利用せざるを得なかったといえる(法的手続は弁護士以外には依頼できないため)。したがって、全体の70%近くは、弁護士を積極的に利用しているとは言い難いのが現状である。

2 顧問弁護士または相談できる弁護士の有無

顧問弁護士がいる 相談できる弁護士はいる どちらもいない 無回答
19.5% 16.2% 61.5% 2.8%

※顧問弁護士も相談できる弁護士もいない中小企業が全体の61.5%も存在する。

3 弁護士の利用経験と顧問弁護士または相談できる弁護士の有無
 (クロス集計)

  顧問弁護士または相談できる弁護士の有無
いない 相談できる弁護士 顧問弁護士 無回答 合計
弁護士の利用経験 ない 87.4% 6.3% 1.5% 4.8% 100%
法的手続のみ 54.6% 26.1% 18.7% 0.6% 100%
法的手続以外 24.2% 24.5% 50.3% 1.0% 100%

※法的手続で弁護士を利用した経験がある企業の54.6%は、顧問弁護士または相談できる弁護士がいない(単発利用)と回答している。この層を関係先・顧問先に育てていくことが重要となる。

4 弁護士を利用したことがない理由

弁護士を利用したことがない理由グラフ

※「特に弁護士に相談すべき事項がない」「弁護士以外への相談で事足りる」と回答した企業が多い。

5 これまでに法的な課題と認識している事項

債権回収 40.6%
雇用問題 27.2%
クレーム対策 25.3%
契約書のリーガルチェック 19.2%
事業承継・相続対策 18.8%
債権保全 17.3%
各種社内規定の策定 15.4%
知的財産権 9.1%
個人情報・情報管理 8.2%
課題なし 17.5%

※実際には法的課題であっても、そうであると認識していない企業が多い。

6 法的課題を弁護士に相談しなかった理由(複数回答)

法的課題を弁護士に相談しなかった理由グラフ

上記4~6の結果から、「特に弁護士に相談すべき事項がない」と考えている企業の中には、客観的には法的課題といえるような事項であっても、「法的課題でない=弁護士に相談すべき事項がない」と考えている企業が相当数含まれていると考えられる。このため、企業活動においてどのようなことが法的課題になりうるのかを認識してもらうとともに、弁護士に相談できる場面が思いのほか多いということを企業に知ってもらう必要がある。 たとえば、事務所案内やホームページなどで「他の企業ではこのような利用の仕方をしている」というような具体的な利用イメージを提示することが考えられる。

また、「弁護士に相談しにくい」「弁護士にツテがない」「弁護士に連絡を取りにくい」「料金がわかりにくい」といった理由も多く挙がっている。料金をわかりやすく表示するほか、弁護士の人柄やフットワークの軽さをアピールし、敷居を下げる工夫が必要となってくる。

7 未解決の法的課題

未解決の法的課題を持つ企業の割合
債権回収 6.6%
事業承継・相続対策 3.3%
コンプライアンス体制構築 1.7%
クレーム対策 1.3%
債権保全 1.2%
雇用問題 1.2%
知的財産権 1.1%
会社再建 0.9%
各種社内規定の策定 0.9%
個人情報・情報管理 0.9%

※債権回収や事業承継・相続対策、クレーム対策は、企業が法的課題であると認識している一方で、未解決と考えている事項であり、潜在的なニーズが高いといえる。

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