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法律事務所の経営(財務)

 景気の急激な変動は、法律事務所の仕事を増やすと言われていますが、先生の事務所では如何でしょうか。今回のFAX通信は法律事務所の経営(財務)についてレポートします。

○法律事務所の収入(売上げ)の特徴は事前に予算が立てにくい点にあります。それは以下の理由からではないでしょうか。

  1. スポット的な訴訟を中心としていますといつ仕事が入ってくるか分からず、不確定なので収入の見通しが立てにくい。
  2. おまけに、「着手金・報酬」制は、訴訟の成功・不成功によって収入が変わってくる。
  3. 逆に、事務所の費用や人件費は固定費となり、毎月必ず発生するので収入よりも先に支払う場合が多い。

○しかし、法律事務所の場合、支出はほとんどが固定費ですから、1年に必要な予算を立てることは容易だと思われます。事務所運営に必要な経費に、弁護士本人の適正な収入と毎月の積立額を加えて、1年間に必要な予算を立てます。これが最低限の売り上げ目標となります。

○毎月、月初めに前月の月次決算を出しますが、月によって収入は一定していないでしょうから3ヶ月ごとに決算をやり直し、問題点をチェックします。場合によってはマーケティングや営業活動を含めた経営方針の見直しもしなければならないかも知れません。

○解決策は収入を平均化することと、当たり前のことですが定期的収入を増やすことです。

  1. 何よりも顧問先を増やすことです。そのための「営業の方法」と「選べる顧問契約」については、このFAX通信のVol.5~Vol.7ですでにレポートしました。
  2. 「着手金・報酬」型をやめ、「タイムチャージ+オプション」型の報酬制の採用も収入の平均化に有効です。依頼者の為に働いた時間に適正な時間給(例えば1万~3万)を乗じ、これに依頼事項の充足度を評価し、オプション料金として加えて請求します。
  3. 先生の事務所の報酬システムを一般の人にもオープンとし、報酬を確実に受け取り、かつ督促の負担を避けるためにクレジットカードによる支払いを積極的にすすめます。事前の見積りも要求がなくても随時提示します。

○万一、その月の収入よりも支出が多い場合もあり得ることを考え、①月々の売上げから一定額を積み立てておくか、 ②近い将来収入の見込みがなければ借入れの手当をしておくことも重要となります。

リーガルフロンティア21 代表取締役 生千歳

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