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法律事務所の業務改善

○日弁連の統計によりますと、弁護士の仕事に対する苦情の多くは、相手方ではなく依頼者からのもので、その内容は (1)処理の仕方が悪い (2)対応の仕方や態度が悪い (3)処理が遅い (4)報酬の基準が不明朗 (5)終結結果に納得がいかない、の順となっています(弁護士白書2007年版、 225頁)。今回は、このような苦情をなくし、顧客満足度を向上させるためには何をしたらいいのかを提案させていただきます。

○顧客満足度を向上させるためには、依頼者に提供するリーガルサービスの品質管理をしっかり行なう必要があります。

  • 依頼者に応接するスタッフの、電話応対・接客マナーを高めましょう。プロの産業カウンセラーの指導を受ける等によっても、マナーは飛躍的に改善されます。(苦情(2)に対応)
  • 依頼者の話を「聞く技術」を高めることも重要です。(苦情(2)に対応)
  • 法律事務所における「インフォームドコンセントの原則」をきちんと守りましょう。
    依頼案件の解決方法と解決に至るまでの見通しについて提案・説明し、依頼者の同意を得るよう努めます。(苦情(1)、(5)に対応)
    費用・報酬額は依頼者にとって最大の関心事ともいえるため、特に依頼者から求められなくても、見積りを出すようにします。(苦情(4)に対応)また、解決までにかかる時間についても、おおよその見通しを説明すると依頼者の信頼を得ることができるでしょう。(苦情(3)に対応)
  • 処理中も、関係書類のコピーとともに「進捗状況表」を作成し、仕事の「見える化」を図ります。これにより依頼者は、弁護士が自分のために何をしてくれているのかを知ることができます。(苦情(1)、(3)に対応)
  • 案件が終結したら、アンケートなどにより、依頼者自身に処理全般について評価してもらいます。その結果は担当弁護士をふくむ事務所スタッフにフィードバックし、顧客満足度を高めるようにします。(苦情(1)~(5)に対応)

○事務処理のスピード化を図り、事務所の生産性を向上させる必要があります。(苦情(3)に対応)

  • 弁護士でなくてもできることはどんどんスタッフに任せ、弁護士は弁護士でなければできない仕事に専念します。また、指示と監督を正確に行うために弁護士を頂点としたピラミッド型の組織を作り、職務分担を分業化し、合理化しましょう。
  • そのためには、優秀なパラリーガルを育成することが重要になります(当社ではこのような要請に応えるべく優秀なパラリーガルを養成しています)。また業務の分野ごとにマニュアル化を進め、処理能力を高め、生産性を向上させます。
  • 最後に、事務処理の効率化のために最も重要なことは、「事務処理のIT化」です。
    これについては、次回にレポートさせていただきたいと思います。

リーガルフロンティア21 代表取締役 生千歳