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法律事務所における営業1

1. ターゲット選定

営業は、商品やサービスを欲しい人を探すことからスタートする。手当たり次第に電話をかけたり、訪問をしても、効率は上がらないため、誰に対してアプローチをするのかをまず考える必要がある。

アプローチ先を考えるにあたっては、いくつかの方法がある。

  1. 過去のクライアントから中心顧客像を想定し、それに類似した層をターゲットとする
  2. これから獲得していきたい業務分野から想定される利用者を考え、ターゲットとする

以下、それぞれの方法について説明する。

(1) 過去のクライアントから中心顧客像を想定し、それに類似した層をターゲットとする

依頼者は誰か? 依頼者の必要性・困りごと・不安は何か? 提供したサービスによって受けたメリットは?
A市の不動産管理業者 賃料の不払い 賃料の回収
A市の貸しビル業者 原状回復費用でテナント側と調整がつかない 依頼者側に有利な条件で和解成立
B市の貸しビル業者 賃貸借契約書の見直しをしたい トラブルを未然に防げる安心感
(共通点は)
A市を中心とした不動産賃貸関連業
(共通点は)
事後的なトラブルへの対応
(共通点は)
トラブル解決
「弁護士に任せたから大丈夫」という安心感

(2) これから獲得していきたい業務分野から想定される利用者を考え、ターゲットとする

どの業務分野に的を絞るかを考えるにあたっては、

  1. 自分の興味・関心のある分野
  2. 市場性を分析し、今後の見通しが明るい分野

という2つの側面から検討すべきである。

「市場性分析」とは、案件数と報酬回収の容易さを軸として、分析する方法である。

佐藤弁護士は、過去のクライアントの中に中小の製造業が多いことに気付いた。彼らの中には独自の技術を持っていながら、親事業者の無理な要求を飲まされているところも少なくない。彼らに対して、下請法対応と知的財産保護をサービス内容として提案できないだろうかと考えるようになった。

2. ターゲットリストの作成

選定したターゲットのリストを作成する。アプローチ方法にもよるが、社名と連絡先(住所・電話番号・FAX番号・メールアドレスのうち、1つ以上)は最低限必要である。加えて、従業員数や売上高、資本金などがわかると、アプローチの優先順位の決定に役立つ。

ターゲットの件数は、アプローチの方法・頻度にもよるが、1回限りのアプローチではなく、継続的にターゲットにアプローチし、信頼関係を構築していくことを目指すのであれば、フルタイムの営業スタッフ1人につき1,000件程度が妥当である。
他の業務との兼業の場合、アプローチ方法がダイレクトメールの送付など、画一的な手法となってしまうのはやむを得ないが、ターゲットの中から重点ターゲットを100~200件程度設定し、そこだけでも電話や訪問といった個別アプローチを行うべきである。ダイレクトメールを送るだけでは、反応率が0.1%を切ることも珍しくないからである。

次に、代表的なターゲットリストの作成方法を以下に示す。

(1) 信用調査会社から購入する

連絡先(住所・電話番号・FAX番号)に加え、代表者名、業種、直近の売上高がわかるデータの場合(1,000件)
帝国データバンク 262,500円
東京商工リサーチ  71,000円

(2) 図書館を利用する

比較的規模の大きな図書館であれば、「東商信用録」(東京商工リサーチ)、「帝国データバンク会社年鑑」(帝国データバンク)といった企業名簿、「全国各種団体名鑑」(原書房)といった団体名簿、「会社職員録」(ダイヤモンド社)といった役員名簿を蔵書している。これらを利用して、ターゲットリストを作成する。
こうした名簿からリストを作る場合、1枚ずつコピーを取る必要があるため、大量のリストを作成するのは難しい。したがって、あらかじめターゲットを絞り込んだうえで利用するのが効果的である。

(3) インターネット検索を利用する

業種と地域で絞り込み検索をした結果や、各種団体のホームページに掲載されている会員リスト、地図情報サイト・求人情報サイトなどから情報を入手する。この方法の場合、収集できるデータの項目にばらつきが生じることも多く、リストの作成に時間がかかることもある。

佐藤弁護士は、信用調査会社を通じてA市に本社を置く、資本金5000万円~3億円までの製造業で、従業員数が10名~300名の企業のリストを入手した。さらにこの中から、最初のターゲットにすべき企業を50社ピックアップし、インターネット検索などで企業情報を集めた。