1. トップ
  2. コンテンツ
  3. 弁護士のためのオンライン営業セミナー
  4. テーマ1:法律事務所における営業とは | 営業活動の具体例1

営業活動の具体例 – 寺院の顧問を獲得する方法1

1. なぜ寺院が弁護士の顧問先として有望なのか

寺院が弁護士の顧問先として有望な理由としてまず挙げられるのが、競合が少ない点である。宗教と法律の接点は、従来、霊感商法などの消費者事件に関するものが大半であり、弁護士も寺院を顧問先(顧客)として考えてこなかったし、寺院側も檀家の中に弁護士がいるケースも多く、あえて外に弁護士を求めることは少なかったといえる。しかし、今日においては、寺院をめぐる新たな法的トラブルが登場する一方で、檀家とのつながりが失われている寺院も増えてきており、顧問先のターゲットとして有望なものとなりつつある。

加えて、寺院は葬儀や法事を通じて、遺族と接する機会が多い。当然、相続などについても相談を受けるケースが多いといえる(法的紛争という形ではなく、家族のもめ事としてであろうが)。寺院を顧問先とすることで、そういった檀家の紹介も期待できる。

2. 寺院をめぐる環境

(1) 寺院数

仏教系の宗教団体は、2007年末時点で全国に85,897団体あり、このうち、宗教法人が77,544団体ある。都道府県別では、愛知県がもっとも多く(5,137)、大阪(4,304)、兵庫(3,767)、東京(3,411)、滋賀(3,339)、京都(3,330)が続く(文化庁「宗教年鑑」)。
近年、後継者不足などから寺院数は減少傾向にある(2004年末86,415団体)。

(2) 寺院と墓地

寺院というと、墓地のイメージがあるが、宗教法人が経営する墓地は、全体(880,527か所)の6.6%にあたる58,552か所にとどまり、大半は個人が自己・親族のために設置する小規模な墓地である(厚生労働省:保健・衛生行政業務報告)。

他者に販売するために墓地を造成・設置することを認められているのは、現行法制度上、地方公共団体、宗教法人、墓地等の経営を目的とする公益法人(民法法人)のみである。公益法人の出資者は、石材店や葬祭業者、土地造成業者などが多いとされている。
もっとも、上記の宗教法人が経営する墓地の大部分は仏教系の宗教法人が経営していると考えられること、また、宗教法人が経営していない墓地についても、仏教式の供養がなされる墓地が多いと考えられることから、寺院と墓地との関係は強いといえる。
また、宗教法人の墓地経営権を名義借りし、営利企業が実質的に墓地を経営しているケースも増えており、問題となっている。

(3) 改葬の増加

平成21年度に墓地の移転等の理由で、元々埋葬されていた場所から別の場所に改葬されたケースは、72,050件あった。年によるばらつきが大きいが、2005年以降、増加の傾向にあるといえる。
背景には、郊外型の墓地から都心の墓地への回帰や、寺院墓地から民間墓地への改葬などがあるとされている。

» 次ページ:「営業活動の具体例2」