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営業活動の具体例 – 寺院の顧問を獲得する方法2

3. 寺院における法的問題

(1) 墓地の管理

墓地を利用する場合、一般に墓地利用者は(1)永代使用料と(2)管理費を支払う。

  1. 永代使用料は、墓地の区画を使用するための使用権料の性質を持ち、一括で支払われるケースが多い。規約等で譲渡や賃貸を禁止されている場合が多く、使用をやめても返金されない。
  2. 管理費は、墓地の清掃など墓地の維持・管理に要する費用で、通常、区画の面積に応じて費用が決まっている。年払いであったり、数年ごとに支払ったりする方式が採られている。

上記に関連して法的問題が発生する可能性としては、(1)墓地の退去に伴う、永代使用料の返還に対する対応、(2)管理費の滞納に対する督促、度重なる滞納に対する使用権の停止(墓地の没収)等の措置、などが考えられる。

(2) 改葬に伴う問題

改葬にあたっては、転出元となる墓地の管理者に埋葬証明書への記入・捺印を求める必要があり(墓地、埋葬等に関する法律5条、同法施行規則2条)、トラブルが生じやすい。
自寺院へのスムーズな改葬を支援するために、転出元となる墓地の管理者との交渉を本人に代わって行うことはニーズがありうる。

(3) 事業承継(相続)

宗教法人の場合、手続上の問題は、代表役員等の変更程度であり、会社組織のような持分(株式)の金銭的評価などの問題は発生しないが、代表者の個人資産の相続や後継者問題で紛争が発生する可能性がある。

(4) 個人情報保護

宗教団体は、個人情報保護法50条により、宗教活動において個人情報を取り扱う場合には、同法の適用除外とされているが、個人の権利意識の高まりにより、宗教団体においても個人情報保護について全く意識しないということはできない状況になりつつある。

(5) 檀家対応

檀家との関係が希薄になったこともあり、お布施の回収が滞ったり、不当な値引き要求がなされるなどの事例がみられるようになった。宗教行為に対する金銭の支払のため、債権回収という考え方は馴染みにくいが、不当な要求に対する対応に弁護士が必要とされるケースは今後増えると思われる。

4. 営業方法

  • 直接アプローチによる営業
    DM等によるアプローチから、アポイントを取得して提案を行う。ターゲットリストについては、「宗教年鑑」が利用できる。ただし、都道府県知事所管の被包括宗教法人(いわゆる「末寺」)については、掲載されていないので、独自に情報の収集が必要。
  • セミナー開催
    宗教法人を対象としたセミナーを実施し、来場者の中から見込み客となる宗教法人を探す。宗教法人を対象とした法的問題に関するセミナーは開催そのものが少なく、需要は大きいと考えられる。地域でターゲットを絞る方法のほか、包括宗教法人(いわゆる「本山」)にアプローチをかけ、その傘下の宗教法人を対象とするセミナーを実施する方法も考えられる。

後者の場合には、その宗派によって特色が出ることが予想されるため、包括宗教法人側との事前の準備が重要となろう。
包括宗教法人は、全国に399法人存在する(うち仏教系が166)。
宗教法人側のニーズとしては、税務に関心が高いと思われるため、税理士と組み、「宗教法人の税務と法的トラブル対応」といったテーマが提案しやすいと思われる。