墓地を利用する場合、一般に墓地利用者は(1)永代使用料と(2)管理費を支払う。
上記に関連して法的問題が発生する可能性としては、(1)墓地の退去に伴う、永代使用料の返還に対する対応、(2)管理費の滞納に対する督促、度重なる滞納に対する使用権の停止(墓地の没収)等の措置、などが考えられる。
改葬にあたっては、転出元となる墓地の管理者に埋葬証明書への記入・捺印を求める必要があり(墓地、埋葬等に関する法律5条、同法施行規則2条)、トラブルが生じやすい。
自寺院へのスムーズな改葬を支援するために、転出元となる墓地の管理者との交渉を本人に代わって行うことはニーズがありうる。
宗教法人の場合、手続上の問題は、代表役員等の変更程度であり、会社組織のような持分(株式)の金銭的評価などの問題は発生しないが、代表者の個人資産の相続や後継者問題で紛争が発生する可能性がある。
宗教団体は、個人情報保護法50条により、宗教活動において個人情報を取り扱う場合には、同法の適用除外とされているが、個人の権利意識の高まりにより、宗教団体においても個人情報保護について全く意識しないということはできない状況になりつつある。
檀家との関係が希薄になったこともあり、お布施の回収が滞ったり、不当な値引き要求がなされるなどの事例がみられるようになった。宗教行為に対する金銭の支払のため、債権回収という考え方は馴染みにくいが、不当な要求に対する対応に弁護士が必要とされるケースは今後増えると思われる。
後者の場合には、その宗派によって特色が出ることが予想されるため、包括宗教法人側との事前の準備が重要となろう。
包括宗教法人は、全国に399法人存在する(うち仏教系が166)。
宗教法人側のニーズとしては、税務に関心が高いと思われるため、税理士と組み、「宗教法人の税務と法的トラブル対応」といったテーマが提案しやすいと思われる。