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  4. テーマ3:高齢者をめぐる案件獲得の手法 | 相続と遺言1

相続と遺言1

1. 相続と遺言をめぐる環境

(1) 死亡者数

2000年(96万人)と比較すると、2008年(115万人)は、約1.2倍となっている。

(2) 終活ブームと遺言書キット

2003年ごろより、資産の管理、介護や病気時の対応から葬儀の希望といった内容を一冊のノートにまとめる「エンディングノート」とよばれるものを作る人が増えている。近年では、一歩進んで遺言書を作成するための用紙や封筒などをセットにした「遺言書キット」が発売され、関心を集めている。こうした最期のときに向けて葬儀や墓、財産分与の準備を始める行動を「終活」といい、一種のブームとなっている。

(エンディングノート・遺言書キットの例)
 野村證券「マイライフノート」2,520円
 コクヨ「遺言書キット」2,415円

(3) 相続事件の小型化と弁護士の関与割合の減少

a. 相続税の課税対象となる被相続人の割合、被相続人1人あたりの課税価格ともに低下傾向にあり、相続事件は小型化傾向が進んでいる。

  • 相続税の課税対象となる被相続人の割合
    2000年5.0%→2008年4.2%
  • 被相続人1人あたりの課税価格
    2000年25,500万円→2008年22,500万円

※相続税については、政府税調が課税最低限の引下げ、最高税率の引き上げを伴う税率構造の見直しなどの課税強化を検討しており、この結果によっては相続問題がクローズアップされる可能性がある

b. 遺産分割調停事件数に対する弁護士の関与は減少傾向にある
2000年64.5%→2008年61.5%

2. 案件獲得のためのアプローチ方法

(1) 法定相続と遺言相続

法定相続 → 相続人をターゲットとして、遺産分割の案件を獲得する。
遺言相続 → 被相続人をターゲットとして、遺言・遺言執行の案件を獲得する。

※相続人をターゲットとする場合、円満な相続の場合にはそもそも依頼が発生しないのに対し、被相続人をターゲットとする場合、紛争の有無に関わらず受任の可能性がある。
→被相続人(高齢者)をターゲットとすべき

(2) アプローチの方法→高齢者個人ではなく関係する組織・人

高齢者個人に直接アプローチする場合、その方法はマス広告が中心となり、費用がかかる。そこで、高齢者に関係する組織や人にアプローチし、そこから問題を抱えている高齢者を紹介してもらうことを考えるべきである。こういった組織等は、高齢者と日常的に接触しており、法的問題が生じたときに最初に把握するケースが多いと考えられるからである。また、アプローチの対象が絞り込めるため、効率もよい。
他方、組織等にとっても、弁護士と連携することで、法的問題への対応に悩まされることがなくなるだけでなく、一歩進んで、高齢者に対するサービスの拡充を図ることも可能となる。

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